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【働き方】結婚を機に静岡へ移住しフリーランスへ。「自分の気持ち・身体に耳を傾けながら行動する」

小山さんは大阪府出身で、インテリアや和雑貨を取り扱う奈良の老舗企業・中川政七商店にて商品企画部のチーフデザイナーとして働かれていました。その後、静岡県出身のご主人とのご結婚を機に静岡市へ移住。現在はフリーランスのイラストレーター・デザイナーとして活動するかたわら、オリジナルブランドpunto a puntoを立ち上げ、ポストカード、カレンダーなどの紙製品やエプロンなどの布製品の制作、販売もされています。
「自分の気持ち・身体に耳を傾けながら行動する」と話す小山さんにお話をお伺いしました。

――ご結婚を機に静岡へ移住されたとのことでしたが、知らない土地での生活に不安はありませんでしたか?

親戚のほとんどは関西圏に住んでいるのですが、叔母のひとりが島田市に住んでいまして、子どもの頃から静岡の話は色々と聞いていたので不安はあまりなかったです。
静岡は、透明感があって自然豊かなイメージ。あとは食べ物が美味しい。温暖な気候とよく言われていますが、それはその通りでしたね。生まれ育った大阪や京都は盆地で、夏は暑く冬は寒いのですが、静岡は気候的に変化が少なく、身体的にも楽です。あと静岡は海も山も近く、どちらも気軽に行けるのは嬉しいですね。静岡に来てからサーフィンをする人の出会いも多く、すぐ近くに海がある魅力を感じます。

――大阪と静岡では文化的にも違いが多そうですが、何か驚いたことはありましたか?

緑茶が本当に美味しい!静岡に来てお茶を飲む量が格段に増えましたね。静岡では当たり前に飲まれているお茶がお店でも家庭でも相当レベルが高いです!でも地元の人にとってはこれが普通で、あまりこの事に気づいていないような気がします。新茶シーズンになると静岡ではテレビや新聞でトップニュースとして取り上げられますが、関西ではほとんど取り上げられません。お茶が静岡の産業や文化に深く結びついているんだなと感じます。

――移住をきっかけにお仕事も変わることになったと思いますが、今のお仕事に至ったきっかけを教えていただけますか?

静岡へ移住して、最初は専業主婦をしながらしばらくのんびり過ごしていました。結婚前は仕事中心の多忙な生活をおくっていて、心身ともに無理をしながら頑張っていた部分もあったので、少し立ち止まって、自分の気持ち、身体に耳を傾ける期間を設けようと。

特に女性は結婚や出産などライフステージによって大きく環境が変わることも多いと思います。年齢を重ねるごとに価値観が変わったり、仕事や家族などの優先順位も変わってきます。自分の周りの環境の変化に対してはなるべく柔軟に前向きに受け入れたい。自分で選択できる仕事に関しては、自分の心や体に嘘をつかず向き合いたいと思いました。

そんな中、今の活動のきっかけになったのが「ARTS&CRAFT静岡手創り市」のチラシをたまたま手に取ったことです。面白そうなクラフトフェアだなと思い、出展したいなと思いました。その時はとにかく出展ことを目標に、正直、その先のことは考えていなかったですね。出展したのはオリジナルのカレンダーやファブリックパネル、ハンカチなど。

その展示がきっかけでいくつか小売店さんから商品を取り扱いたいと声をかけていただいたり、他のイベント出店へお誘いいただいたり、と少しずつ活動の幅が広がっていきました。

――出展、制作、製造、販売と全て行うのはとても大変ではなかったですか?

企業に勤めていた時はデザインだけを担っていて、実際に生産や販売をすることはありませんでしたので、初めてのことが多くて大変ではありました。でも、自分が作ったものを直接お客様の顔を見て販売するという経験を通して、初心に返ることができました。直接お客さまの生の声や笑顔が見られたことは本当にとても嬉しかったです。ものづくりもそうですが、人と接することも好きなんだなというのも発見でした。

声をかけてくださった静岡の小売店さんも、作り手とお客さんの懸け橋になってくださる方が多く心強いです。直接ではなくてもエンドユーザーと繋がっていると感じられることがものづくりのモチベーションにもなっています。
自分の作品を通して、あらたな繋がりや出会いが広がっていくことが喜びですね。

――作品を通して新たな繋がりや出会いが広がるのは確かに嬉しいことですね。

静岡では思いがけない所で知人や友人同士が繋がっていたりすることが多々あります。
仕事をする上でも奇遇な縁でお仕事につながるケースが多くて、面白いなあと思います。
同時に、人とのご縁に感謝ですね。

――その他に静岡でものづくりをする楽しみはありますか?

ありがたいことに静岡には、富士山、お茶、みかん、イチゴなど、絵にしたくなるようなモチーフがたくさんあるので、デザインする楽しみがたくさんありますね。
静岡県民は富士山愛とお茶愛にあふれているせいか、こういったモチーフのものは特に人気があります。
私自身も地元の人が静岡の魅力に再認識・再発見してもらえるようなデザインを心がけているので、自身の商品やデザインを通して、静岡の魅力に気づいてもらえるツールになれれば嬉しいです。

――今後チャレンジしていきたいことはありますか?

まずはオリジナルブランドpunto a puntoの商品展開を充実させ、販路を拡大したいです。
コロナで延期になってしまった個展やイベント出店があるので、現在は新商品の開発や定番商品を充実させる予定です。
あとは、引き続きデザインやイラストのお仕事もどんどんしていきたいです。それから、本の装丁や絵本を出版したりしてみたいですね。
人の人生に感動や喜びを与えられるような仕事ができたら幸せだなと感じます。

 

フリーランスとして、自分と向き合いながら働く小山さんのお話を聞くと、「本当に自分がしたいこと」に真正面から向き合って充実した生活をされていることがうかがえます。
現状に疑問や悩みを持っている方、移住することに不安を抱えている方は、少しだけ立ち止まって、自分の気持ち、身体に耳を傾け、自分に正直になって行動してみることが大切なのかもしれません。