【移住者インタビュー】“蒲原に来たら、まず会いたい人” と思ってもらえる存在に。 地域とゲストが交わるコミュニティの場をつくりたい。

長崎県出身で、静岡には縁もゆかりもなかったという大澤さん。
蒲原に出会い、引っ越し、駄菓子屋とバックパッカーズホテルをはじめ
地域を盛り上げる様々な企画を展開しています。
この土地にかける想い、そして今後目指す未来について伺いました。

―はじめに、「Backpackers Hostel燕之宿」を始めることになった
きっかけについて教えてください。

“この土地の風景を守りたい”と思ったからですね。
蒲原って不思議なまちで、京都のように歴史ある建物が多いけれど、
変に観光地化していないんですよ。そんなところに惹かれてこの土地に
引っ越してきたんですが、住んでみてしばらく経った頃、築100年以上の建物が
次々と建て替えで壊されていくのを目の当たりにしました。
そのとき、“昔から蒲原に住んでいる人は、この場所の価値に気づいていない”と感じたんです。

自分がかっこいいと思った景色を守りたいし、地元の人たちには、
もっとこの土地のことを誇りに感じてもらいたい!と思い、色々とアイディアを膨らませて
辿り着いたのが、この宿でした。
空いている古民家がたくさんあったので、素敵だなと思う物件の家主に
アプローチをしていったのですが、ことごとく断られて(笑)やっと理解してくれる
オーナーに出会えたのが、ここ、志田邸でした。


▲燕之宿改装前


▲燕之宿改装後

―古民家を活用するとなると、飲食店やアパレルなど様々な選択肢があったと思いますが、
なぜ宿を運営することにされたんですか?また、実際にどんな方が訪れていますか?

蒲原のおもしろい、素敵なところを知ってもらうには、
町での滞在時間を長くすることが必要だと思いました。そこが僕にとってポイントでした。
宿があれば、最低でも1泊2日は滞在し、2回は食事をとる。
その食事も地域のお店を利用して、滞在に関わる地域の人を増やす。
だから、飲食などのサービス提供は一切行わないようにしているんです。
その代わりおすすめの店を紹介する。こうすることで、この土地にある魅力的なお店や人に、
たくさん出会ってもらえると考えています。
ここのオープンが2020年2月だったので、コロナの影響が大きく、
利用してくださった方はまだまだ少ないのが現状です。
ただ、こんな状況でも来てくれる方々なので、とっても面白い方ばかりで。
そんな方々と出会えるところも、宿をやっている醍醐味だなと思いますね。

―静岡に移住して、住む前と印象はどんな風に変わりましたか?

実は静岡に来る前は、富士山があることすら知らなかったんです(笑)
静岡に対して、“何のイメージも持っていなかった”というのが正しいですね。
だから会社員の頃、新店舗の立ち上げで初めて静岡に来た時は、
“海越しに富士山が見える!!”って感動しました。
結婚して家を購入する前に一度蒲原に遊びに来たことがあって、
まちの風景や空気感のことがすっかり気に入ったんです。
それで、いざ静岡に腰を据えて住むぞ!となったとき、真っ先に思い浮かんだのが蒲原でした。
それだけ僕にとって、魅力的な土地だったんですよね。

―風景や景色に思い入れの強い大澤さんの、お気に入りの場所はどこですか?

蒲原西小学校ですね。晴れた日に4階から外を見渡した時の景色が絶景なんですよ。
子どもが在籍しているわけでもないのに、「景色を見せてください!」ってお願いしたら、
快く招き入れてくださって。この景色はぜひ、蒲原に来たら見てほしいですね。
それからマニアックでわかりづらいんですが(笑)、
旧東海道の高速道路沿いの道から見える景色も最高ですよ。工場の向こうに駿河湾が見えて
でも山々もしっかりと視界に入ってきて。
ついこれまでの時代の変遷に想いを馳せたくなる、ノスタルジックな風景です。


▲蒲原西小学校4階からの景色


▲旧東海道の高速道路沿いの道から見える景色

 ―今後チャレンジしてみたいこと、実現したいことは何ですか?

宿の運営だけではなく、クラウドファンディングで企画しているような、
地域とゲストをつなげるコミュニティや場づくりを積極的に企画していきたいですね。
旧東海道沿いに小さなショップを点在させる1日だけのマーケット
「TOITA MARKET」は楽しんでもらうことはもちろんですが、
古民家を活用するイメージを持っていただくという目的を持ってやっています。
最近は静岡市から、ワーケーションツアーの企画にも声をかけていただくなど、
色々な人を巻き込んでできる機会が増えてきました。
“あいつに言えばおもしろいことありそうだよね”って、
思い浮かべてもらえるような人間になりたいです。


▲TOITAマーケット

この活動を続けることで、この地に住む子どもたちや次の世代に、
この土地を故郷として残し、受け継ぎたいという思いもあります。
蒲原には高校がないので、進学したら他の地域まで行かざるを得ないのが現状です。
でも、人生で一番多感な時期に、生まれ育った土地に遊び場がないって悲しいですよね。
学校帰りにスタバやマックで勉強するのと同じ感覚で、
“新蒲原にも面白いところがあるよ。ちょっと寄ってこうぜ”って、
友だちを誘えるような場所をつくりたいなと。
若い世代から“なんか面白いことをやっているおっちゃん”と思ってもらい、
友だちのようにつるんでいられる存在になれたら、最高に楽しいですね。

遊び心と夢いっぱいに語ってくれた大澤さん。
その眼は、夢だけで終わらせない熱い情熱で輝いていました。
行動力と人を巻き込む企画力で、蒲原の土地をもっと盛り上げていってくれるに違いありません。
「Backpackers Hostel燕之宿」をはじめ、
大澤さんが企画するイベントの最新情報はこちらからご確認ください。
■燕之宿Face bookページ(https://www.facebook.com/TSUBAMENOYADO