榎戸さんは、大手建設会社にて日本を飛び出し海外でも働いていましたが、現在では「オフィス・エノキド」を立ち上げ、地元静岡にてフリーランスとして、写真・ドローン・動画の撮影、Web制作をされています。前職とは大きく違う今の働き方は「自分で選んだ働き方」と話す、榎戸さんにお話をお伺いしました。
――大手建設会社にて海外で働いているところから、静岡でフリーランスとして働くことは、大きな転換だと思いますが、そのきっかけを教えて頂けますでしょうか。?
はい。当時はゼネコンのタイ・現地法人で駐在員として働いていました。
給与や待遇面としては恵まれた生活をおくっていましたが、現地で出会った日本人と結婚し、
子どもも生まれて40歳直前になった時に、自分の人生であるにもかかわらず、自分の基準ではなく人からの評価で、自分の仕事や暮らし方を選んでしまっていることに気づきました。
▲タイで暮らしていた時の写真
――人からの評価で仕事や暮らし方を選んでしまっている、というのはどういうことでしょうか?
普段あまり意識しませんが、人生におけるいろんな選択は、親や友人・他人にどう思われるだろうかとか、この選択をしたら喜んでもらえるんじゃないかなど、自分の意志で選んでいるようで、実は選ばされた選択をしてると思います。
多くの人はそんなことは気にせずに、今いる会社で勤め上げていくと思いますが、それもひとつの幸せだと思うし、その選択に正解も不正解もないと思っています。
ただ、いまいち仕事にのめり込めずに真剣になっていない自分にも気づいていました。それであれこれ考えた結果、仕事に一生懸命になれない理由が「選らばされた仕事」だったからじゃないかということに気づきました。
はっきりとそれが理解できたのは、フリーランスとして働くようになってからですが、在タイ中に子どもが生まれ、子どもと過ごす時間が楽しく、育児に参加したいけれども、仕事が忙しく思うような暮らしが出来ていないことに違和感を感じていたところ、ちょうど日本への帰任も決まったため、そのタイミングで、一度サラリーマンという働き方を辞め、「自分で選んだ仕事をしてみよう」と思い、バンコクで出会った写真家の沖野豊氏に師事し、カメラマンを目指すようになりました。
――40代手前で、大手建設会社を辞め、カメラマンを目指すことに、不安などなかったのでしょうか?
サラリーマンとして建設会社で15年働き、国家資格もいくつか持っていたことから、仮にカメラマンに挑戦して結果失敗し、何年かのブランクがうまれてしまっても、再就職はできるだろうという見込みがあったので、そこまでの不安はなかったです。
――カメラマンとしての仕事を本格的に始める際に、静岡という土地を選んだ理由はなんでしょうか?
子どもの将来を考え、ニュージーランドやフィリピン、タイなども実際に現地を見に行って移住するかを検討しましたが、新しい土地で言葉も不自由な中、さらに新しい仕事を始めるという多重のリスクよりも、地元である静岡なら、いざというときに頼れる実家もあり、自分で事業をやっている友人とのつながりも多かったので、静岡を選びました。
――地元とはいえ、20年ぶりの静岡で、フリーランスとして働く際、最初は大変だったのではないでしょうか?
そうですね。最初は静岡青年会議所や静岡商工会議所青年部などに入会して、まずは静岡のコミュニティに入ることを意識していました。最初はとにかくお金が心配だったので、とりあえずお金になりそうであれば何でもやっていましたが、今はしっかりとビジョンを持つ人との仕事を選んで取組んでいます。
その方が緊張感を持って取り組め、自分にとってもいいパフォーマンスを発揮できるからです。自分が思う静岡のいいところは、真剣に仕事をし、ちゃんと結果を出してさえいれば、口コミで次の仕事へと繋がっていくところです。なので、一つ一つの仕事にしっかりと取組み、実績を作っていければ、仕事は増えていくし、それがやりがいにもなっていきます。
またWebサイト経由で、首都圏や近県の仕事を頂くこともありますが、東海道新幹線や東名高速道路や中部横断自動車道も伸びていますので交通アクセスも良く、静岡以外での仕事も拡がっています。
――真剣に仕事に向き合い、結果を出すことで、評価され次の仕事につながる、というのは確かにやりがいにつながりそうですね。
サラリーマンは会社で得た利益が給与として分配されますが、フリーランスになってからは、自分の仕事の対価がそのまま報酬となるためダイレクト感があり、サラリーマンと違った刺激があるため、お金へのありがたみや緊張感が全く違いました。それが仕事のモチベーションにもつながっていると思います。
▲仕事をしている時の写真
――現在の仕事に対する充実さを感じますが、プライベートでも何かチャレンジされていることはありますか?
トライアスロンが趣味で、日本代表としてマスターズ世界選手権出場を目指して練習を重ねています。静岡はジョギングする場所もたくさんあるし、日本平などバイク練習する場や50mプールも割と近くにあるので、いいですね。
▲トライアスロン参加時
大手建設会社からフリーランスへと働き方を大きく転換し、静岡へ移住した榎戸さんのお話を聞くと、フリーランスとして静岡で働くことの楽しさを感じるとともに、あくまで「自分で選んだ働き方」として能動的に動いた結果、充実した生活をされていることがうかがえます。
サラリーマンからフリーランスになり、移住を考えている方は、自分にとって何が大切で、何が不満なのか、それらをまず整理し、その上で、「自分で選んだ働き方」を何か考え、積極的に行動に移すことが大切なのかもしれません。