「しずおかのひみつ」の店主であり、“街の居場所の守りびと“ 井上泉さん。
静岡のまちで活動を続ける井上さんの想いとは─。
─早速お聞きします、しずおかのひみつとは…?
「お土産屋さん」と「みんなの図書館」という棚貸の図書館と「喫茶」が一緒になったお店です。お店の名前は、「ひみつにしたいほどの静岡のあれこれが詰まっている」といったみんなが思う“宝物“が集まるそんな場所になったらという思いを込めています。小学生からご年配の方、近所の方から旅の人まで、幅広い方との出会いがあって、まるで「屋内公園」のような場所になっていると思います。

─“新静岡土産”!目新しいラインナップですね。
駅には置いていないような、普段お土産ものにチョイスされにくいものを、自称“新静岡土産”と再定義して販売しています。“新しいお土産”と最寄りの“新静岡駅”をかけています(笑) ここのお土産とか、ここで出会うお客さんとか、まちの情景とか、全部ひっくるめて大事にしたいしずおかのひみつです。
─みんなの図書館、個性が滲み出ていますね。
「みんなの図書館」はもともとは隣町の焼津市で始まった取り組みです。棚を月額で借りてくださっているオーナー様がご自身の本を置いていて、それをまちの人達が無料で借りられるというしくみです。今は54人の棚主さんがいます。例えばギャグマンガを置いている「ササキ文庫」は小学生の息子さんとお父さんの棚で、子どもたちに絶大な人気があります。20代〜80代まで、年齢も性別も価値観も異なる、個性豊かな棚主さんが選んだ本を楽しんでいただけるのが「みんなの図書館」です。

─「まちを楽しむ」を発信したい、が原点だと。
2014年から「シズオカオーケストラ」というまちづくり集団として、拠点を持たずに活動していました。まちって、いろんな人や物事がお互いに作用し合っていて、まるで音楽みたいだなと思っていて。その音楽みたいなまちを面白がったり味わったりするための仕掛けとして、イベントやプロジェクトの企画を10年ほどやっていました。ただ、まちづくりに興味がある人だけじゃなくもっとランダムに色んな人と出会うような形が理想的で、誰もが入っていける場所ということで店を構えることに。

─“ちょこっと静岡 ローカル体験ガチャ”?
静岡の楽しみ方が書かれた紙が入っているガチャガチャです。休みの日のアトラクションの一つとして、楽しんでもらうこともありますね。当時、「しずおかのひみつ交換所」といって物理的にひみつを交換する企画をしていました。誰かのまちの楽しみ方が書かれた紙と、自分のとっておきの過ごし方を交換するんです。例えば、通勤で何度も見る景色でも、色んな見方を持ってまちを見れば楽しいし飽きないんですよ。それぞれの立場からまちを感じ、味わい、それを面白く感じる、これがまちを楽しむことだと思っています。
─“まちじゅう歓迎会”を企画しているのだとか?
移住や転入で静岡に来られた方を対象に、まちのいろんなコミュニティが毎年5月にオリジナルの歓迎会を開催するというプロジェクトです。会社とか学校とかオフィシャルな歓迎会とは別に、新しく暮らし始めた町で、ウェルカムな空気を味わってもらえたらと思い、有志で始めてみました。暮らし始めたまちの手触りや安心感を感じてもらう入口として機能したらいいなと思っています。でも実はどちらかというと「歓迎させてください」という気持ちが強くて(笑)。我々の歓迎したい欲を満たしてもらっているような、そんな企画です。

─誰もが集まれる場所にしたいと。
これからもずっとこのお店があり続けて、まちの日常風景の一部になれたら嬉しいなと思います。老若男女誰もが肩書きを捨てていられる場所でありたいですし、誰に相談したらいいかわからないことをとりあえず聞いてみようと思ってもらえる場所でありたいです。
─しずおかのひみつ、教えてくれますか?
来ていただけたら、もちろんお話しします。あなたのとっておきも教えてくださいね。
─移住者さんへ向けて一言
インターネットには出ていない、一歩踏み込んだ本当の日常の静岡のまちの緩さを、ぜひ味わってください。そして、ぜひあなたのまちのことも教えてください。




