【移住者インタビュー】変化を柔軟にとらえ自分らしく働く。そして静岡から世界へ。

結婚がきっかけで東京から熊本、熊本から静岡へ

パートナーの転職により、2019 年4月に熊本県から静岡県に移住してきた松原里穂さん。結婚、パートナーの転勤など、女性ならではのライフイベントの変化を柔軟に受け入れながら、現在はフリーランスとして企業のコンサルティングやPR、海外展開のサポートの仕事をしています。そんな自分らしく働いている松原さんに、静岡の魅力についてお伺いしました。

静岡の魅力を実感

――熊本県から静岡県への移住とお伺いしましたが、まずは松原さんの経歴を教えてください。

出身地は大阪です。大阪の大学に在学中に、魅力的な各地域のお出かけ情報をユーザーに投稿してもらい、その情報をインターネット上で共有する「Holiday」というサービスを友人たちとローンチしました。その後「Holiday」をクックパッドに事業譲渡し、大学卒業後はクックパッドに入社するため、東京へ引っ越しました。入社後は「Holiday」を充実させるため、コミュニティマネージャーとして日本全国を飛び回り、100回以上ものワークショップを現地のNPOや有志の方々とともに開催しました。熊本県のテレビ番組で旅のコメンテーターとして、出演していた経験もあります。
そんな時に熊本でパートナーに出会い、2016年結婚することになりました。結婚当初は、東京と熊本を行ったり来たりする生活をしていました。ですが、夫婦としての生活をもっと大切にしたいという思いが次第に強くなってきたので、思い切って2017年1月に熊本県に拠点を移しました。

▲「Holiday」時代のワークショップ風景

――ご結婚をきっかけに、熊本へ移住したんですね。熊本では、どんな働き方をしていたんでしょうか。

「Holiday」はリモートワークが可能なため、メールやチャットなどで連絡を取り合いながら、月に数回東京へ出かけていました。ですが、熊本に住みながら東京の仕事をしていると、なんだか「暮らしと仕事が、かみ合っていないな」と感じることが増えてきました。そんな中で「熊本だからこそできる仕事がしたい」と思い、県内の企業に就職しました。

――熊本の会社では、どのような仕事をしていたんでしょうか。

天草にオープンする商業施設にあるカフェのプロデュースをさせていただきました。コンセプト作りはもちろん、メニュー開発から業者選定など、すべてにおいて関わらせていただいたので、とてもやりがいがありました。どうしたらお客様にきていただけるのか。その価値を作る仕事は、「Holiday」で行ってきた仕事と共通点もあります。
また、熊本で就職した会社は副業OKだったので、「Holiday」の業務も引き続きしていました。他にも、熊本で出会った海苔を海外へプロモーションするお手伝いもしていました。

▲ロンドンでの仕事の一幕

――場所を選ばず、自由に働いていらっしゃいますね。そんな中、静岡への移住はどういったきっかけだったのでしょうか?

静岡への移住は、パートナーの転職でした。熊本の会社から静岡の会社へと転職することになったんです。全く新しい土地での再スタートになるので、転職を決める前に、二人で沢山話をしました。そして、事前に静岡を訪れてみて、あちこち巡ってみた結果、すごく気に入ってしまって・・・移住を決めました!

――松原さんからみた、静岡のいいところはどんなところでしょうか。

一番感動したのは、どこからでも富士山が見えるということ。富士山を見ると、なんだかホッと癒されるから不思議です。富士山が見える風景と観光を絡めたら、もっと静岡をPRできるんじゃないかなと、ついつい仕事柄考えてしまいます(笑)。
あと、静岡の人はとても優しい方が多いような気がします。転勤族も多いし、出張で静岡に来る方も多いからでしょうか、すごく開かれているイメージです。
実は、静岡に来てから個人事業主として独立したんですが、静岡の人はとても協力的で「あんなに人がいるよ」「この人と会ってみたら」と色々ご紹介してくれたり、親身になって応援してくれます。すごくありがたくて、嬉しいですよね。新しいことをはじめたい人には、すごくいい土地なんじゃないのかなと実感しています。

立ち止まり見極める

――今後静岡でどんな仕事をしていく予定ですか?

静岡県には、食も、観光も、すごくいいものがたくさんあります。でも、まだまだ外に伝わっていないように思います。今までの経験を生かして、静岡のいいもの、美味しいものを、日本はもちろん、海外にもアピールして、静岡の価値を高めていきたいと考えています。
そのため、今は静岡の観光地や食、生産者などをリサーチしていることです。可能なら、輸出できるような商材を見つけて、海外へ売り出していきたいですね。

――すごく自由に働いている印象の松原さんですが、どうしたら松原さんのように場所を選ばず、好きな仕事を続けていけるのでしょうか。

東京時代は、記憶にないくらい一生懸命働いて、なんでも挑戦しました。その経験や、そこで得た出会いが、今の仕事へつながっているように思います。
結婚前は、やりたいことはなんでもチャレンジしようと思い働いてきましたが、最近では取捨選択することの大切さを感じています。全てを得ようとしても得ることはできません。だからこそ、じっと立ち止まって今の自分にとって何が必要か、見極めることが必要なんじゃないかなと思います。
現在、半分は東京と海外の仕事、2、3割は九州の仕事、残りは静岡でのリサーチという仕事内容です。今できる最善を尽くして、一歩一歩進んでいく。それが今の私に一番必要なことです。
女性は結婚や出産など、働き方を変えないといけない時が来るように思います。その時々の変化を柔軟に受け入れ、今後も自分らしく働いていきたいと思います。

▲ブッリュッセルにて有明漁師海苔PR

――なるほど、その時の状況を柔軟にとらえ、自分らしく仕事をしていくイメージ像がはっきりと描かれているんですね。

そうそう!あとこれを言い忘れていました(笑)。
私的に静岡のおすすめは、みんながサッカーを大好きなところ。県内に4つもプロチームがあるんですよ!市内のベンチや花壇がサッカーボールのモチーフになっていたり、飲み屋さんで隣になった方ともサッカーの話で盛り上がります!実は私、4歳から高校生までサッカー少女で、当時は日本代表候補にも選んでもらえるくらい熱中したんです。なので、サッカーが大好きな私にとって、静岡は天国みたいなところ。いつかサッカー関係のお仕事もしたいなぁ、なんて考えています。

その時々に目の前にある仕事を全力でこなしてきたらこそ、今があるという松原さん。そんな今までの経験に静岡という土地がミックスされ、どんな仕事が生まれていくのでしょうか。今後の松原さんのご活躍が楽しみです!
(文=市田里実、写真=窪田司)